組織にとって何を目的に活動するのかを表すのが「理念」です。いかなる組織であっても最終目的がお金(営利)であるというわけではありません。確かに従業員を雇用するのも、新しい投資を行うのにもキャッシュを回すことが必要ですが、あくまでお金は手段であって、目的にはなりません。
例えば、人生も同じで、お金が最終目的になってしまうと、何ともさみしいものです。
理念は組織を立ち上げるときに最も重要な核となるものです。理念の構築はリーダーにとって最も重要な仕事であり、リーダーにしか確立することができません。
「理念」は組織全体によって共有され、理解されなければなりません。その為、常に明確に記述され、普遍的に浸透されるものであるべきです。理念は崇高な理想とも言えますので、どんなものでも良いと思います。例えば「日本一の医療を提供する」でも良いと思います。しかし、漠然とした独りよがりの目標を作っても組織には浸透しませんし、地域社会や周囲の環境に理解されることも難しいでしょう。
理念は組織としての目標であると同時に外的社会との関連性や位置づけを行うことが必要となります。医療施設の場合は、提供するサービスが限定されるために整合性を取るのは割と簡単ですが、一般企業の場合は熟考が必要です。
そして、その理念を達成するために目標とすることが「ビジョン」です。
理念はある種、その組織の「思い」であって、抽象的になりがちです。しかしビジョンでは、さらに具体的に検討して、目指すべき姿を明確にする必要があります。例えば「日本一の医療」とは具体的に何でしょうか?患者数・手術数でしょうか?治療の難度でしょうか?ホスピタリティでしょうか?さらに医療といっても手術技術や診療技術もありますし、豊かな老後や安心もあるでしょう。
また提供する相手は患者さんだけでしょうか?優れた技術を学会などで発表して医療界で共有するという提供の仕方もあります。
理念は感情的な訴えになりますが、ビジョンの段階で具体的に詰めていくと、組織の目標がさらに明確になってきます。
次回は私が掲げた恭青会の理念について解説します。