今回は① 能力もしくは知識不足について、恭青会で行っているエラー予防措置を述べていこうと思います。
まず知識や経験の底上げが大切で、特に新人教育が重要です。また教育内容は知識伝達以上に患者対応のシミュレーションも重要になります。患者さんの対応は個々の個性や病状によって千差万別であるため、座学だけでは補えません。
恭青会での新人研修では、常に誰かが目を配るように心がけています。特に新人のうちは思わぬエラーをすることもあるので、いつでもフォローできるように配慮しています。眼科的知識が乏しい場合は、なぜこういう判断が必要なのか、あるいはなぜこれをしないといけないのか、という理解がないと表層だけになってしまいます。こういった状況を続けていると精神的に疲れるだけでなく、イレギュラーな場面に対応できず、エラーを起こしてしまいがちです。知識教育や対応シミュレーションを繰り返すことで、判断力が改善して頭の中でパターンが認識されるようになります。こうすれば精神的緊張も和らぎ、必然的にエラーの確率が下がります。
今述べたように精神的な疲れは能力低下につながります。職場内での雰囲気づくりに気を付ける一方、定期的に面談をしてしっかり休息が取れているか、あるいはメンタルに問題がないかをチェックしています。直接院長には話しづらいこともありますので、リーダーやサブリーダーと協力しながら個々の状態を把握し、極端な能力低下や精神的損耗がないかどうかをチェックすべきです。
能力に期待するだけでなく、職場のシステムとしてヒューマンエラーを減らす取り組みや努力が大切だと感じています。
次回は、ヒューマンエラーを起こす要因の② 錯誤、錯覚、③ 手順違反などのシステムについてお話ししたいと思います。