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残暑に負けず、健やかにお過ごしのことと存じます。秋の訪れが待ち遠しいですね。

 

さて前回は、日本の製薬業界が多くの問題に悩まされ、薬剤(新薬)の安定供給が危機にさらされているというお話をしました。新薬は、何千億円という高いコストと10年以上の長い時間をかけて開発されますが、各段階で様々な問題が生じます。

 

今回は、その中でも最初の段階である「起業と技術育成」ついてお話しします。実は、新薬の開発は今やベンチャー企業が主流であることをご存知でしょうか?厚労省の資料によると、世界の創薬品目のうち80%以上がベンチャー企業によるもので、大企業によるものはわずか15%でした。なぜ、このように小さな企業が創薬をリードするようになったのでしょうか?

 

まず第一の理由は、技術革新のスピードが異常に速いことです。そのため、大企業的な手堅いムーブでは対応できず、柔軟に動けるベンチャー企業の方が新しい技術やアイデアを積極的に取り入れ、ニッチな分野に挑戦しやすいのです。
第二に、ハイリスク・ハイリターン型のビジネスのために一般株主のコンセンサスを得にくく、むしろリスクを許容できるベンチャーキャピタルなどが好む投資案件であることが挙げられます。
第三に、成功の暁には大手製薬企業が競って買いにくるため、エグジットの見通しが立ちやすく、投資資金の回収も比較的容易です。

最後に、各国が医療分野の技術革新を奨励する流れにあるため、規制も緩和される方向にあることもこの流れを加速させています。 

 

日本ではベンチャー育成が難しいという話を聞いたことがあると思います。これは投資家だけの問題ではなく、リスクを避けて大企業で働くことを推奨する文化的・教育的背景や税制、セーフティネットの欠如など、多くの要因があると言われています。
今の創薬システムでは、ひとつの薬のために一つの会社が設立され、そこに資金や技術を一気に投資します。そのため、極端に言えばその会社自体に存続意義はなく、資金回収とともにつぶしてしまうことも多々あります。


日本人がマインド的に好きな「長きにわたって薬を作り続ける」という伝統意識は、もはや古いのかもしれません。このような製薬会社の構造変化に、日本が対応できていないことも原因の一つです。つまり、日本の社会経済的問題が、製薬業界にも暗い影を落としていると言えるのかもしれません。

 

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医療法人恭青会

理事長 生野 恭司
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