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謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、ここ3か月にわたって医院経営について語ってきました。今回は、今もっともタイムリーな話題、来年度の診療報酬改定についてお話しします。

 

高市政権は「診療報酬本体3.09%プラス改定」を発表しました。これは、数字の上では明確に歴史的な水準です。本体改定率が3%を超えるのは過去数十年でほぼ例がなく、30年ぶりとも言われます。物価高や人件費上昇に苦しむ医療現場に対し、国が強いシグナルを出したこと自体は事実です。

 

一方で、この数字がそのまま現場の実感に結びつくかという疑問は残ります。これまで長期的に算定が「無理ゲー」と言われ続けてきたDX加算やベースアップ評価料は、その象徴です。理念としては正しくとも、実際には人手不足や事務負担の増加、初期投資の壁があり、多くの医療機関が十分に対応できていません。結果として、算定できるのは一部の施設に限られ、「形だけのアップ」にとどまってきたのが現実です。今回の改定も、制度設計次第では同じ構図を繰り返す可能性があります。

 

さらに見逃せないのが、社会保障財政との関係です。高齢化が進み、医療費全体が構造的に増加する中で、この改定率を持続的に出し続けることは極めて困難です。結局のところ、今回の改定は一時的なカンフル剤にとどまり、後に反動が来る可能性があります。コロナ禍での補償が、数年後に病院経営を逆に苦しめたケースを思えば、短期的な安心が中長期的な歪みを生むリスクは現実的です。

 

人材問題についても楽観はできません。仮に多少の給与改善が実現したとしても、それだけで地方の医療人材が回復するとは考えにくいでしょう。医師や看護師、コメディカルの配置は、賃金だけでなく、労働環境、教育、生活インフラ、家族の就業機会など複合的な要因に左右されます。「少し給料を上げれば戻ってくる」という段階は、すでに過ぎています。今回の改定は、その先の戦略を十分に示しているとは言えません。

 

それでも、全てを悲観的に捉える必要はないと思います。少なくとも国が「このままでは医療提供体制が持たない」という危機感を、数字として明確に示した点は評価できます。重要なのは、この改定を一度きりのイベントで終わらせないことです。診療報酬という枠組みの役割を見直し、人材と機能にどう再配分するのか。その本質的な議論へ踏み出す契機となるならば、今回の3.09%には一定の意味があったと言えるでしょう。

 

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医療法人恭青会

理事長 生野 恭司
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