急性緑内障発作は、ある日突然目が痛くなり、眼圧が上がり、モノがぼんやり見え始めます。そのうちに、痛みが激しくなり、吐き気や頭痛が起こります。
様子を見ているうちに2、 3日で失明してしまうこともあり、最も危険な病気と言うこともできます。
今回は眼科で最もメジャーな救急疾患である、急性緑内障発作についてお話しします。
急性緑内障発作は、緑内障の 1つで、急激に眼圧が上がることから始まります。 眼圧とは、目の硬さを維持する力のことで、眼圧が低いと目が柔らかく、眼圧が高いと目が硬くなります。目では最も機能するように一定の圧に保たれています。正常は10~20mmHg(ミリメートル水銀柱)と言われています。
緑内障の典型では、眼圧が高くなると神経が痛み、網膜が障害されて見えなくなってしまいます。緑内障発作の場合は、この上昇が激しく、場合によっては60~70mmHgにもなり、急激に網膜の障害が進みます。眼圧が高くなると、うずくような痛みが生じて、その後頭痛や吐き気等を伴います。
吐き気があるので、胃腸の病気かと思っていたら、目の病気だったっと言うことがたまにあります。
このような症状が生じたら、体だけでなく目の病気を疑うことも重要です。
緑内障発作が起こる仕組みとして、目の中には水の流れがあり、一定の割合で水が目の中から流れだすことによって圧が保たれています。
虹彩(ひとみ)の付け根に隅角と言う隙間があり、そこから水は流れます。
白内障や高齢化により隅角が狭くなっていると、その水の流れが滞り眼圧が上がります。ゆっくりと詰まった場合は「慢性的な緑内障」になりますが、急激に詰まると「緑内障発作」となります。
若い頃に遠視だった人や、白内障放置している人などはなりやすいとされています。
また緑内障発作は、瞳孔が開いたときに起こりやすいため、夜間に生じやすいと言われています。
最後に治療ですが、以前はレーザー治療で、水の出口を作る虹彩切開術というのが行われていました。これは手術せずに済むなどの利点がありますが、後に角膜に重大な障害が起こることがわかり、今では高齢等の場合を除きほとんどなされていません。もう一つは白内障手術を行うことです。手術によって出口が広がり、発作を予防します。いずれにせよ眼科で正確な診断とその処置が必要となります。目が時々痛む、夜間に特に痛いなどの前兆がある場合はすぐに眼科に受診することを勧めてください。また、とても目が痛くて頭痛もする、虹のようなものが見える、目が充血してるなどの症状が組み合わせてあれば、救急で眼科を受診してもらうことをお勧めします。