今回は私の考える「未来の講演会のあり方」についてお話したいと思います。
いくの眼科勉強会の最初の形式は視能訓練士からの質問に対して、カルテを見ながら私が答えていました。ただ、それではプレゼンの勉強にもなりませんし、知識が流れてしまい身になりません。予習と論点の整理を兼ねて、質問をスライドプレゼンとし、私も系統疾患をまとめることとしました。こうすることで、以前勉強した内容を復習することもできますし、幅広い勉強が可能です。そうこうしているうちに、外部の先生方から、いくの眼科の勉強会に参加したいというお声をいただくようになり、勉強会の原型ができあがりました。
今年は新型コロナ対策として、第5回いくの眼科勉強会からリモート参加とリアル参加のハイブリット形式で行うこととしました。 ただ、参加人数の増加につれ院内が手狭となり、第6回からは千寿製薬株式会社様の共催を得て、十分に距離のとれる貸会議室で行うことができました。このように我々の勉強会は毎回進化しており、今回に限れば、企業さんがやるような立派な講演会に近づきつつあるように思います。
今まで企業による講演会は山ほどありました。
最先端の話を聞くだけでなく、食事もできて、旧交を温めることもできます。一石二鳥、いえ三鳥とも言えました。ただ、私は以前から改善すべき点もあると思っていました。
ひとつ目は営業の要素もあるので取り扱う議題の領域が偏りがちです。ふたつ目は、自戒を含めてですが、講演会の演説回数の多い先生方は同じようなスライドを使いまわして講演をすることがあるため、聴講者にとっては、どこかで聞いた話で新鮮味がないと考えます。
今やウェブやオンラインの講演会は大きな会場や大人数のスタッフを使わなくても可能です。またMRさんがいなくても、インターネットやSNSで情報提供が可能です。翻って考えると、講演会の主体は必ずしも企業である必要はなく、我々のような小さなクリニックでも十分可能ということです。つまり我々聴衆側が聞きたい講演会を自らデザインできるようになってきたといえましょう。いくの眼科では、今後も講演会のクオリティーを上げてハイレベルなものにしていきたいと思います。