新緑の青さが陽光に眩しい季節となりました。
コロナウイルスの拡大で、暗くなりがちな生活の中にも、変わらず安らぎを与えてくれる自然の偉大さを感じます。
今回は眼瞼外来を担当します浅井医師に「眼瞼下垂と偽眼瞼下垂の鑑別」についてのお話をさせていただきます。
慈恩編集部
眼瞼下垂と偽眼瞼下垂の鑑別について
さて、本日のテーマは上のまぶたが垂れ下がって目が開きにくくなる疾患である、眼瞼下垂と、偽眼瞼下垂の鑑別についてです。(図1)
【症状】 「上のほうが見づらい」などの症状がみられます。重度になると「目が疲れる」「重い」といった症状が出ることもあります。
【原因】 加齢、外傷、神経麻痺などがあげられます。まれに先天性の方もおられます。
特に今回は、【偽眼瞼下垂(ぎがんけんかすい)】についてお話したいと思います。
手術適応や術式決定に重要になるのが、眼瞼下垂との鑑別診断になります。
鑑別すべき疾患と、当医療法人で特に留意している点について、ご説明いたします。
1.皮膚弛緩症(ひふしかんしょう) 表面の皮膚がたるむ病気※眼瞼下垂に間違われやすい
特に、一重まぶたの方に多いです。
✔下垂しているまぶたの下縁に皮膚の丸まった感じ(内側に折りたたまれた感じ)がある。
✔瞼の皮膚が分厚い印象がある。
そのような人は眼瞼皮膚だけを持ち上げて、まつげの根元が見えるように診察します。
まつげの根元が見えている状態だと瞼の位置は正常な方は、皮膚弛緩症に該当します。
上方の視野に障害があれば、皮膚切除術を行います。
2.顔面神経麻痺に伴う眉毛下垂
こちらは病歴から、分かる事がほとんどですが、通常の下垂では、前頭筋を挙上することによってまぶたを上げようとします。
そのため、下垂している側の眉毛は上がります。
ところが、顔面神経麻痺では下垂している側の眉毛も下がります。
皮膚弛緩症と同様、上方の視野障害があり、症状が固定していれば手術をすることもあります。
3.上下斜視 右眼か左眼どちらかの視線が上下にずれた状態
眼瞼下垂があるように見える眼の反対眼を遮蔽して、下垂を疑う眼で固視にして、診察すると、角膜反射が正しく得られ下垂ではない事が判断できます。
4.眼窩病変(がんかびょうへん) 眼球のはいっている頭骨前面の穴に腫瘍ができる病気
眼球下方の腫瘍や眼瞼上方の腫瘍でも起こり得るので、注意を要します。
・角膜反射の位置を定規を用いて丁寧に診察する。
・眼球自体の位置異常がないか、少し離れて診察する。
と見逃しにくく判断しやすいかと思います。
他院からご紹介いただき、実は髄膜腫だった!なんていうこともございました。
正確には「髄膜腫の再発」だったのですが、患者様ご自身は、「脳神経の病気と、眼科の病気は無関係だから必要ない!」とご判断され、異常な腫れ方をしてからやっと事実にたどり着いた、という経緯がありました。
眼瞼についても、全身的な問診が、とても大切だと本当に勉強になった出来事でした。
眼瞼下垂の治療に関するご相談・お問い合わせは 当院にお任せください。